DVD「東京原発」

 DVD東京原発は,役所広司演じる東京都知事が,東京都庁前の広場に小規模の原発を誘致して東京の電力をまかなおうと会議で提案することから始まります。コミカルな映画ですが,見方によってはとても深いです。都知事と大臣・学識経験者の間で,東京の電力を新潟や福島の原発から供給している事実,原発のあるところは地震の危険性をかえりみず活断層の上にある事実,テロによって壊される危険がある事実など原発の問題が延々と議論されます。この映画のすごいところは,映画の制作年です。この映画は 2009 年のアメリカ同時多発テロ,2011 年の福島原発を経験するより前の 2002 年に制作されているのです。監督の山川元氏は千里眼の持ち主では?と思ってしまいます。映画の中で,都知事が「地方の自然を破壊してまで原発を建造し,都民が電気をもらうだけなのはおかしい。」というセリフがあります。しかし,現実は福島では自然が破壊されただけでなく,そこに暮らしていた人の生活までも壊されています。(竹下浩子 2018)