日本は男女平等な社会じゃないの?!

 男は仕事,女は家事・育児」といった性別役割や,「女の子(男の子)だから○○してはいけない」「女の子はピンク,男の子はブルー」という考え方は,その社会が定義する女らしさ/男らしさにもとづく社会的区分であり,これを「ジェンダー」といいます。世界経済フォーラムでは,各国における男女間の格差を数値化し,「ジェンダー・ギャップ指数」を算出していますが,日本の順位は 149か国中110 位と下位となっています(2018 年)。なかでも,健康分野(出生時の男女比など)が 41 位,教育分野 (識字率の男女差など)が 65 位であるのに対し,経済分野 (賃金の男女差など)が 117 位,政治分野 (議員の女性比率など)が 125 位と格差が大きく,問題となっています。
 このジェンダーは,子どもたちがよく視聴するアニメの中でもみられます。例えば「スーパー戦隊シリーズ(1975 年~)」の戦士は,レッド(男性),ブルー(男性),グリーン(男性),イエロー(男性),ピンク(女性)というように,男性 4 人,女性 1 人で構成され,リーダーはレッドの戦士(男性)が常に務めていました。1984 年以降は女性の 2 人体制が増え,1988 年から女性初のブルー戦士が登場,そして 1994 年には初めて女性リーダーが誕生という変化はみられるようになりました。しかしオープニング映像の登場順は,すべて男性(赤)からで,男性より女性の戦士数が多くなることは一度もありません。また男性が最も重要な役割を任され,女性は補助的な役割を担うことも大きくは変化がみられません。「男性が先,女性が後」「男性の方が女性より多い」「男性が主体,女性が従属」という描写は,男性中心で男性優位の社会を表しており,子どもたちは無意識にこうしたことが当たり前であると受け入れてしまいます。今回は,アニメを取り上げましたが,他にも CM,ドラマ,雑誌といったメディアによって,ジェンダー・バイアス(男女の役割について固定的な観念)が無意識に刷り込まれることから,『ジェンダー平等の実現』に向けて,私たちの暮らしに身近なメディアにおいてジェンダーに配慮した表現が必要であると考えます。(藤田昌子 2018)